Luciana Janaqui
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再帰カウンセリング
2020, HDビデオ(美容整形外科医が話した内容を日本語通訳者が訳した音声、それを再演する作者の映像、デジタルイメージ), 26分08秒






個々の身体(デバイス)を超えた記憶や物語(メモリ)の重なりと交換に関心がある。作品ではイメージや言葉を通して私自身のメモリを他者に、または他者(個人
あるいは複数)のメモリを私にインストールすることで、身体に格納された情報の所有者性を危うくさせ、バージョン化した主体のズレや奇妙さを観察してきた。
それはネット上でバラバラになり揺らぐ無数の「私」から世界を捉え直し、意識と体の関係を解体・再構築する試みでもある。

今回の制作過程:
1.韓国の美容整形外科でカウンセリングを受ける。医師、通訳者、私の会話を録音。
2.通訳者の女性の音声のみ切り取って繋げる。
3.その音声に合わせて口パクする私自身を被写体に、「盛れる」カメラアプリを使って動画撮影。参考画像も挿入し、映像作品を作る。

2018年30歳の冬、整形の可能性を念頭に貯金の100万円を持って韓国を訪れたが、結局は手術しなかった。あれから2年半、外見の魅力は目減りしたが、当時取り憑か
れていた可愛さへの強迫観念も薄まり適当に誤魔化しつつ生きている。

先日、録音した音声を久々に聞いた。通訳者の発言しか分からないが、彼女たちの話す内容(私の顔の改善点、目指すべき顔など)はまさに私が日々悩み、思い描いて
いたことだった。今も呪いのように私の中に留まり発酵しているそれらの言葉は、誰(医者、通訳者、世の中の人一般)から誰(私個人、客としての私、世の中の女性
一般)に語られていたのか。世間のコミュニケーションの多くと同様にこのカウンセリングも茶番でロールプレイングだった。

映像の中で私は患者の役を捨て、自分自身に対するカウンセラー役を演じることで入れ子構造を作った。それは「盛り自撮り」文化(アプリで美化された自分の像をア
バターとして使うこと)を肉体化する試みかもしれない。編集の都合で途切れ途切れに入った医師の声は、まるで亡霊。